【アイデアノート】第五話 ペッパー君を超えろ

◆ペッパー君を超えろ

晴れ男は、会社の同僚と昼休みに話をしていた。話題は、ソフトバンクの「ペッパー君」だった。

「何十年後には、ドラえもんのようなロボットが一家に一台いるんだろうな。」

晴れ男はそれを聞いて、少しムッとした表情で言う。

「ペッパー君は、ソフトバンクの失敗作だね。」

「ん?なんで?」

「これだけの技術があれば、もっと便利なロボットが作れるでしょ。なんで人型でなければいけないの?それに手に持ったタブレット。あれ違和感ない?」

「なんだよおまえ、それじゃあお前が言う便利なロボットってなんだ?」

「たとえば、介護用の人を持ち上げる力を軽減させるアームなんて素晴らしいと思うよ。なんたって、日常に役に立つ。」

「お前は夢がないな。それにああいうのって、とてつもない開発費がかかるらしいぞ。」

「開発費の問題じゃない。要は必要とされるか、されないかだ。」

「おまえ、偉そうに。じゃあお前が考えてるロボットってなんだ?」

「そうだね・・・信号のない見通しの悪い交差点で交通整理をしてくれるロボットだな。」

「は?どういうこと?」

「もうカーブミラーの時代は終わったんだよ。人なし、車なしで左折OK、右折OK、の誘導をしてくれる。そんなロボットだ。人やモノを感知するセンサーと表示板だけの簡単なロボットだ。」

「わかんねえな。じゃあお前がそれをやれば?」

そう言うと、同僚は行ってしまった。晴れ男は悔しくてたまえらなかった。とっさに考えた交差点の案だったが、同僚にその真意が伝わらなかったのと同時に、表示板だったら、信号でもいいじゃんかという考えが頭に浮かんだからだ。

晴れ男は窓を開け、少し風に当たった。温かい陽気の涼しい風が吹き抜けていた。ふと友人Aの顔が浮かんだ。自分は友人Aに見守られてるのかもしれない。友人Aならそんな言い方はしないからだ。必ず自分を納得させてくれる。そんなことを考えていると、もっとアイデアを出さなければという気持ちが駆り立てられる。自分にはそれしかないからだ。なぜかアイデアを出すことが、友人Aのためでもあると感じざるを得なかった。でもそれはまだ感覚的なものでしかなかった。

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