◆友人Aのオフィス
友人Aのオフィスに到着して、中に入る。晴れ男は、申し訳なさそうに、
「この度は本当に申し訳・・・」
と言うか言わないかの瞬間に、友人Aのこぶしが飛んでくる。顔面にヒットして、晴れ男は倒れこんだ。
「・・・・・」
「おまえ、どうゆうことだ!」
友人Aは、激しく晴れ男を問いただす。
「す、すまない・・・」
「すまないじゃないんだよ!おまえ自分のやったことがわかってるのか!」
「・・・・」
「おまえが自爆する分には構わない。でもな、人様に迷惑をかけるようなことをおまえはしたんだ!」
「・・・・」
「なにが起業だ!おまえはそんな器じゃないんだよ!」
「・・・・」
晴れ男の目には涙が浮かんできた。
「どうなんだよ!遊びじゃねぇんだよ!」
晴れ男はぐっとこらえていたものを吐き出すかのように、泣き始めた。涙がとまらない。
「もういい!帰れ!」
晴れ男は、疲れと申し訳なさと自分への悔しさで、流れる涙をそのままに立ち上がり、玄関に向かった。
友人Aの顔を見ることはできなかった。
*
友人Aのオフィスから、晴れ男の自宅まではかなり距離があったが、晴れ男はふらふら歩きながら帰って行った。外はもう朝だった。
晴れ男の頭の中は真っ白で、どこをどう歩いているか分からないほどだった。とにかく溢れる涙と鼻水で、晴れ男の顔はぐちゃぐちゃだった。しかし、そんなことも気にする余地がなかった。