【アイデアノート】第十五話 利用者向けショッピングサイト

◆利用者向けショッピングサイト

晴れ男は、友人Aのオフィスに呼ばれた。

「おまえ、ちょっと痩せたな。」

「そうかな・・・」

「実は、早速なんだけど、システムの概要を話すよ。」

「これはあるショッピングサイトの社長さんが仕掛ける仕組みなんだけど、簡単に言うとこうだ。」

友人Aが言うには、知的障害者、精神障害者向けのショッピングサイトを立ち上げるという。デイケアとか作業訓練所とかで作業する障害者が、自由にネットを使ってショッピングできる仕組みだという。それを全国展開するというが、その仕組みというのが、障害者施設のネットワークを専用のネットワークで囲い、外の一般ネットワークに出られないようにする。そして、そのネットワークの世界で商品の売買を行う。売買で使う通貨は、バーチャルな通貨。よく最近はやりのポイントのようなもの。また、ポイント獲得は、作業所で作成した小物とか木工細工と引き換えに行う。仕掛け人側が、そういったものをすべて買い取り、ポイントに換算する。

そして、その取得したポイントで、囲われたネットワークで買い物をする。ただし、出展されてるショッピングサイトは、一般のショッピングサイト。仕掛け人と契約を交わした一般のショッピングサイトとなる。但し、それだけでは経営困難になってしまう。楽天のように出店料も取るし(一般よりははるかに安いが)、障害者側にも仕掛けをかける。それはポイントの現金チャージ。障害者は現金をポイントに変えて買い物をするという仕組み。

「もちろん、何でも買えるじゃいけないから、MAXいくらまでチャージできるとかいう制限はある。その辺の決め事は、また説明する。
で、うちが担当するのはそのポイントシステムのところ。肝になる部分だね。あ、でもお前にはプログラムなんてやらせないよ。お前には、取扱い説明書を作ってほしい。まあそのためには、分かり易く図解で、だれでも理解できるものでないとだめだけど。まあ、最初はシステムの概要を熟知してもらうんだな。
ちょっとリスキーなシステムだけど、最近は、社会に利用者がついていけるように、色々やらせるみたいよ。と、ざっと説明したけど、なにか質問ある?」

「大体の構造はわかったけど、本当に利用者はそこで買い物するのかなぁ。あ、ちょっと仕事と関係ないね。」

「そうだね。今は、携帯でも買い物ができる。家のパソコンでも買い物ができる。でもそれって自己責任じゃない?ちょっと残酷な言い方かもしれないけど。それに、実際に買い物しようとしても利用者はお金がないらしいよ。ターゲットが、就職できなくて、職業訓練してる利用者だから、お金がないっていうのも当たり前だけどね。あと、親の金を使うとかそういうのは、家庭の教育や施設での教育、もっと言えば、そういうことをして罰せられる場が、身内でよかったと思う方が利口かもね。」

「どちらにせよ、自分で作業所で作ったものがお金の代わりになり、買い物ができるのは、とても良いことなんじゃないかな。チャージにしたって、月1000円ずつ貯めてチャージするみたいな自己管理ができていいと思う。」

「そうかぁ、うまくいくといいね、このプロジェクト。」

「仕掛け人の社長さんは、もう全国を歩き回って、かなりの仮契約をとってるらしいよ。」

「まあ、導入費だけでも仕事になるから、賢い社長さんだよ。」

「なるほどね。」

「とりあえず、資料は渡すよ。ただし機密扱いにしてくれよ。」

「はい!」

晴れ男は、不思議な気持ちだった。いつも自分が企業のアイデアを言ってる時は、ものすごい勢いで否定してくる友人Aが、実はこういった仕事をしているという事を知ったからだ。仕事の話が終わり、ひと段落したところで、晴れ男は、咲子さんの事を話し、深々と頭を下げた。

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