【やさぐれ】第十五話(最終話)

鈴木竜と西山は話をしていた。

ららぽーとの最終会議にでなかったのは、自分がやくざだからということだった。
ここまで段取りするのが自分の役割で、これ以上は関わってはいけないという。

そしてもうひとつ。鈴木竜はやり遂げた。
海原組と大山組の連合に成功したのだ。

水面下での働きかけで、うまく資金がまわるための手はずを整え、連合へこぎつけた。
そして、その総支配があの神崎だ。鈴木竜を助けた恩人だ。

義理も果たし、すべてをまるくおさめた形となった。

鈴木は言う。

「やるべきことはやった。あとは自然と活気を取り戻すだろう。」

「鈴木、お前そこまで・・・」

「実はな、お前だけに話とこうと思ってな。」

「??」

「俺はあの小学生の惨劇の後、もう死ぬしかないと思ったよ。だけどな、親父が殺されてずっと考えていたんだよ。同じ繰り返しは起こしてはいけないってな。」

「・・・」

「これが俺のシナリオだ。うまくいったもんだよ。」

西山は下を向いていた。
鈴木の苦労なんて自分は少しも分かっていなかった。いや、これからもずっと本人にしか分からないだろうと。

鈴木は続けて言う。

「これからはお前たち、表の人間のやることだ。記念館、うまくやっていけよ。」

「・・・わかった。必ず成功させる。」

西山の目には涙が浮かんでいた。

「西山、最近思うんだよな。なんであの時、お前の家で別れを告げたか。」

「・・・」

「本当は助けてもらいたかったのかもしれない。もうどうしようもなかったんだ。」

「す、すまない・・・」

「いや、違うんだ。助けられたんだ、お前の純粋さに。玄関が開いたときに、おまえにっこり笑っててな。本当に嬉しそうに俺を迎えてくれたんだよ。そんな姿を見て、俺はホッとしたんだ。まだ生きてるって。」

「・・・」

「西山よ、ありがとう。」

「鈴木・・・」

もう顔は涙でくちゃくちゃだった。

鈴木竜は手を出してきた。西山もその手をとり、固い握手をした。

「頑張れよ。」

そう言い残し、鈴木は去って行った。

西山はその場で泣き崩れていた。

それから、鈴木は姿を見せなくなった。
しかし、街は活気を取り戻し、治安も良くなった。

西山は今日も「齋藤氏 記念館」で案内係をする。

『故郷』の前に立つと、力強く言う。

「これが、わが誇りの故郷です。」

平成26年11月11日 やさぐれ 完

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