【やさぐれ】第十話

そこでは、ららぽーとの人間が2人いた。料亭の一室だった。

齋藤氏と取締役と青年が出席した。青年は、部屋に入る。

「・・・!」

そう、2人のうちの1人は、あの鈴木竜だった。

しかし、気づいていないのか、鈴木は青年の方を見もしなかった。
会談が始まる。

どうやら、移転の方向で資金の話やら、会場のイメージやらを話していた。
齋藤氏は黙っている。

もちろん青年は、話す隙もない。ただ黙って聞いていた。

話も終わりかけたころ、鈴木が聞いてきた。

「ところで、先生も異存はありませんね。」

「・・・」

「では、そういう形で・・・」

齋藤氏が初めて口を切った。

「いや、『故郷』だけは今の場所に置く。」

一同唖然としていた。すると、鈴木の相方が、

「先生、『故郷』は今が旬の・・・」

鈴木が相方の話をさえぎって言う。

「先生、それはどういった心境ですか。」

「街中商店街とか発展とかそういった意味はない。ただ『故郷』は今の場所で見てもらいたいだけだ。」

「そうですか。先生がそうおっしゃるなら、ちょっともう一度、こちらで案を考えさせて下さい。」

そういって、話し合いは終わった。

帰り際、誰かが服を引っ張る。振り向くと、鈴木がいた。

「西山、この後時間あるか?」

小声で言う。

「は、はい。」

「じゃあ、9時にこの店に。」

紙切れを渡された。それは店の名刺だった。

こうして、鈴木と西山は再会したのであった。

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