「山ちゃん、いいだろう?」
山岡は、神崎親子写真の写ったハガキを見ていた。
「そうだな・・・今日はやっと仕事も落ち着き、休みだからな。」
山岡は電話を取り出して、車を呼ぶ。
「山岡会長、区役所でよろしいですか。」
隆志が答える。
「区役所でいいよー」
「承知いたしました。」
ーー区役所にてーー
「お客様、ここに記入と印鑑をお願いします。」
その紙にはこう書かれていた。
養子縁組 父と子
*
〜回想〜
「山ちゃん、手伝うって言っただろ。山ちゃんがトップになれば、日本中の子供たちが救われる。」
「わかった、その手続きは俺がする。でもな、いつでも変えられるようにしておくからな。これから、お金が必要になる時が来る。その時は言えよ。」
「山ちゃん、わかってないな。俺ら施設の児童はね、お金なんて欲しくないんだよ。それよりも欲しいものがある。」
「なんだ?お金よりも貴重なものか?怖いな?」
「なあ山ちゃんよぅ。俺が山ちゃんを手伝って、山ちゃんが飛龍会のトップになったら、俺を養子にしてくれ。」
「・・・・」
「それだけだ、な、約束な。」
「・・・・わかった。必ず約束する。」
*
区役所の職員さんが言う。
「お客様、手続きが終わりました。おめでとうございます。」
365日 完 平成28年6月1日 小林多紀夫