【365日 後編】第十三話

会長室を出た佐々木は、星の家の山岡に電話をした。

「・・・」
「佐々木さん、どうしたんですか。」
「会長が・・・神崎会長が辞められるそうだ。」
山岡は、電話先の佐々木が、震える声で話しているのを感じた。歯を食いしばり言った。
「佐々木さん、大丈夫ですよ。神崎派を集めて話しましょう。私も行きます。」
「すまない、こんな時に・・・」
電話を切り、山岡は副施設長に告げた。「星の家を頼む。少し施設をあける。」
            *
神崎家の父(神崎会長)は、仕事に明け暮れていた。妻は「星の家」の立ち上げとともに、雑務を一気に引き受けた。まだ、数名からのスタートであった。
数年が過ぎ、二人の間に子ができた。二人は喜んだ。しかし、闇は突然やってきた。
その子が小学生の時、妻は職場で倒れた。そのまま入院し、帰らぬ人となった。星の家が起動に乗り始めたばかりの頃だった。
子供は、父を憎んだ。そして、中学を卒業すると、家を出た。父は行方を追わなかった。忙しいのもあったが、父と子の関係は、その頃には崩壊していた。父を憎む子、そして、自分の思いを言葉に出来なかった父。
父は苦しんでいた。自分を攻めた。行方を追わなかったのは、見捨てたわけではなかった。自分は父としての資格がないと思っていた。
しかし、NPO法人「飛龍会」を設立時に、息子がある会社を数人で立ち上げることを知った。その後、子にバレないように根回しをした。
その会社こそ、「夢の中研究所」であった。
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