【365日】第四話

それから、安心した隆志は、次々と神崎さんの勧める新薬を飲んでは結果を報告した。「アクダマセイバツ」、「オナカスッキリ」、「ネムレマースヨ」とにかく何でも飲んだ。特に副作用はなかったが、新薬と言うよりは、従来の薬の本当の意味での組み合わせだった。例えば、「アクダマセイバツ」では、のどが渇く副作用があり、のどが乾いたら、用意されたヨーグルトの飲料を飲むと言うものだった。「オナカスッキリ」では、胃腸が爽やかになるわけではなく、むしろ重たい感じ、もたれる作用で食欲をなくさせるものだった。ご飯や肉と言うよりは、野菜中心の生活になり、便通も良くなるというものだった。もちろん、その裏では、胃腸を掃除する菌が薬に含まれており、野菜アンド除菌でお腹を健康に保つ働きがあった。「ネムレマースヨ」に至っては、落ち着かない副作用があり、365日働いているのに、さらに動きたくなる衝動にかられ、通勤をジョギングにしたくらいだ。もちろん、夜になると疲れでぐっすり眠る。夢も見ないで深い眠りについた。これも裏では、血行促進の作用が働いていて、体の疲れを取る。動いて代謝がよくなり眠る。健康的と言えば健康的だ。
こうして数年の月日が流れた。隆志も30歳を超えていた。ふと仕事中に使用していた新聞紙を見た。その見出しには、「車に赤ちゃんを放棄ミイラ化した遺体」と書かれていた。隆志は歯を食いしばって何か遠くを睨みつけていたが、すぐに仕事に戻った。大きな声を上げ、仕事に没頭した。そんな隆志を見て、親方が言う。「おまえ、ちょっとは肩の力抜いたほうがいいんじゃねぇか?会社としては、お前みたいなもんがいると助かるんだが。」隆志は言った。「いいえ、いいんです。自分は仕事が趣味なんで。」親方は「そういえば、おまえお見合いしてみねえか?そっちはからっきしだろ。」隆志は黙っていた。返事もせず資材を取りに行った。
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