【ポイント】第五話

少年は部活の帰り道を歩いていた。

日はもう沈み、暗い夜道だった。野球バッドにグローブをひかっけ片手に持ち、重たいバッグを肩にかけていた。

夜道を照らす街頭を歩いていくと、我が家が見えてきた。少年はため息をつく。心の中で『今日は何もありませんように』と願うように言う。

しかし、家に近づくとその想いは絶望に変わっていく。父親の怒鳴り声とモノがぶるかるような音がする。少年は足早に家の玄関の戸を開ける。

居間に行くと、父親が一升瓶を片手に持ち振り上げながら怒鳴っている。その向こうには、母と妹がくっつくようにひざまずいている。

「やめろ!」

少年は叫ぶ。それを聞いた父親は振り向きながらこちらをギロっとにらみつける。一升瓶をぶらぶらさせながらこちらに向かってくる。

『やばい、やられる』少年はとっさに野球バッドからグローブを取り、バッドを強く握る。

父親が一升瓶を振り上げ、机に向かって振り落とす。

バッシャーン!

机の上にある食事はもちろん、一升瓶も砕けるように割れる。

その音にびっくりした少年は、手に持ったバッドで父親の横っ腹をスイングするように殴りつけた。母親のキャーという声もあり、少年は理性を失っていた。

うずくまる父親に対して、どこを殴りつけたか分からないほどバッドを振り、殴りつけていた。父親は変な形で倒れ込んだ。

少年は急激に頭に血が上ったせいか、そこで気を失った。

 

後日、どこだかわからない個室のベッドで少年は目を覚ましたが、目の前はおぼろげで、体も動かない。近くで声がする。母と医師?か。

「ポイント凍結ですね、もうなんのサービスも受けられません」

母らしき人がずっと泣いている声がする。

少年はそのまま、何も考える力もなくまた深い眠りについた。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA