【ポイント】第六話

新城と栄一は高級中華料理屋に来ていた。栄一は初めての高級料理屋に緊張していた。

しかし、新城は高級料理屋に来る前に、いかにも貧乏といういでたちの子供たち5~6人を誘っていた。栄一は『ああ、自分だけ美味しいものを食べるのではなく、子供たちにには優しいところもあるんだな』と思っていた。

栄一は入店時にポイントカードを確認した。やはりポイントロックがかかっている。いつもなら、入店お断りなのだが、新城がいたおかげで入店ができた。また、子供たちも後から入ってくる。

個室の部屋に案内されると、円卓があり、栄一は好きなところに座れと促された。いくつか座るところがあるが、座ったのは、新城と栄一だけだった。

栄一はすかさず「あの子供たちは?」と聞くが、新城は「同席できるわけないだろ」ときっぱりと言い切った。

栄一は頭の中が???だったが、子供たちは、慣れたように新城の後ろに一列になって姿勢正しく起立している。

 

食事が始まった。新城はなにやら栄一の聞いたことのないものを結構な勢いで注文していた。新城は言う。「好きなだけ食べていいぞ」と。

栄一は躊躇しながらも、運ばれた中華を食べる。『美味しい・・・』

新城の後ろに立つ子供たちが気になり、時より目をやるが、子供たちは直立不動で立っている。少しやましい気持ちだったが、栄一は円卓に並ぶ数々の料理を口にした。

新城が頼みすぎたのか、栄一がおなか一杯と思っても、円卓の上にはまだたくさんの料理が残っていた。

「新城さん、美味しかったです。でももう食べられません・・・」

新城は微笑みながら言う。

「そうか、じゃあ行くか」

栄一は残った料理と直立不動に立つ子供たちに申し訳ない気持ちで、ついこう言った。

「でもまだ残ってるし・・・」

新城は言う。「気にするな、残ったものはテイクアウトだ」

店員に何やら言うと、新城は店を出ようと手招きする。栄一はそれに従った。

一体いくらのポイントを使ったんだと栄一が思っていると、新城が店主らしき人と笑いながら会話をしながら出てきた。その後ろに料理の残りの入った手さげビニール袋を持った子供たちが数人出てきた。

「新城さん、ごちそうさまでした。こんな美味しいもの食べたの初めてです」

「あはは、いいよ。気にするな」

と言うか言わないかのうちに、子供たちは足早に去っていった。それを見た栄一は、新城に問う。

「あの子供たちは?」

「ああ、残り物を家族に持って行くんだよ。俺も今日初めて会った」

栄一は新城のことを『なんなんだこの人は・・・』と再び思ったが、それよりもこんな店でポイントを使えるなんてどういう事だ?という疑問が頭をよぎって仕方なかった。新城に聞こうとしたが、それよりも前に、新城がまじめな顔つきで「じゃあ行くか」と言ったので、栄一は従うように新城の後を追った。

『どこに行くんですか?』と聞きたかったが、あまりにも新城から感じるまじめな空気感がそれを止めた。少し恐怖?不安?の入り混じった面持ちで、栄一は静かに新城の後をついていくしかなかった。

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA