【ブリザード】第四話

太郎は夢を見ていた。

山と山の間から、巨大な毛むくじゃらの怪物が姿を現し、口からあたり一面に向けて猛吹雪を発射している。真っ白な毛並みの怪物は、まん丸の目をして首を左右に振りながら、すべてを凍りつかせている。あたりは薄暗くなり、やがて天気も猛吹雪になっていく。

物凄い音と地鳴りがし、世界は真っ白に覆いつくされた。

太郎はその光景を見ているのだ。しかし、なぜか寒さは感じない。薄暗い猛吹雪の中でそれを淡々と見ていた。周りを見ると、雪で覆われた街のある街頭の下で立ち尽くしている。

その時であった。太郎が監禁されていた施設内で警報が鳴る。

―ウィーン、ウィーン、主電源が確保できません。只今より予備電源に切り替えます。各部屋の施錠はすべて解除し、シェルターモードに移行します―

太郎はハッと目を覚ます。そこは知らない部屋で、鳴り響く警報の音が、ただ事でないことを示していた。

人はいない。太郎は部屋を見渡し、クローン人間の自分は監禁されたのだと察した。しかし、何かが起きたのだ。電気も少し薄暗く、空調も弱く感じた。太郎は部屋の中の物色は後にして、まず部屋の扉の前に向かった。そしてゆっくりと扉を開けてみる。

扉は鍵がかかっておらず、静かに開いた。

前には廊下がある。太郎は一度自分がいた部屋の中をざっと見渡し、廊下へ出た。廊下の通路の明かりも少し暗い感じがした。サイレンのような緊急パトランプが赤く光りまわっている。

太郎はゆっくりと道を頭に記憶しながら歩いて行った。

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