この雨男は、どこへ行っても雨が降る。
友人と出かけるときも、いつも雨になってしまうため、とうとう誘われなくなったくらいだ。
いつものように出かけようとする。すると、急に雨が降ってきた。
まあいつものことだと気にせず、ある場所へ向かった。
その場所とは、小さな神社。
母の調子が悪く入院したため、良くなりますようにとお願いをしに来たのだ。
そんなある日、いつものようにその神社に行ってみると、どうだろう、急に雨がやんだ。
ふと隣を見てみると、ある女性がお祈りしていた。
はて?と思ったが、そのまま母の病院へと向かった。
病室へ行ってみると、母がぐったりと寝ている。
ベッドの脇に座って、うとうとしていると、スタスタと足音がする。
「こんにちは。今日から担当の看護士です。」
雨男は、顔を上げた。
なんとその看護士は、先ほど神社でお参りしていた女性だった。
「あら?あなたは先ほど神社で・・・」
「あ、どうも、宜しくお願いします。」
どうやら話を聞くと、その看護士は、患者さんのために毎日その神社にお参りに行ってるらしい。
それからその看護士とは、神社でも会うし、病院でも話をするようになり、距離が縮まった。
そんな折、ちょっと聞いてみた。
「あなたの行くところは、いつも晴れてます?」
「ああ、私は晴れ女なんで(笑)。」
雨男はその後、この女性に告白する。
そして付き合うことになる。ちょうど、母が退院する時だった。
今日も雨男は出かける。 でも雨は降らない。だって横には、最高の女性がいるから。