【365日】第一話

「これだ!」ある朝起きてみると、一枚の怪しげなチラシが郵便受けに入っていた。そのチラシには「睡眠中もお金を稼ぐ」と書かれていた。隆志はチラシを片手に朝の支度をした。 この男、働き者で中学を卒業し、電気…

【365日】第二話

夢の課中研究所の担当者がやってきた。神崎さんという人だった。 「こんにちは。あなたが隆志さんですね。」 睡眠収入についてざっと説明してくれた。世に出回る前の薬を飲んで、副作用とか効果を後日伝えて欲しい…

【365日】第三話

隆志はいつものように朝起きた。目覚ましをセットするのだが、必ず、目覚ましのセットした時間の5分前には目が覚める。その日は、新薬を飲んで初日だった。イタミコロリという仮名の薬だった。ぢの薬だ。神崎さんに…

【365日】第四話

それから、安心した隆志は、次々と神崎さんの勧める新薬を飲んでは結果を報告した。「アクダマセイバツ」、「オナカスッキリ」、「ネムレマースヨ」とにかく何でも飲んだ。特に副作用はなかったが、新薬と言うよりは…

【365日】第五話

隆志はまた夢の中研究所に来ていた。 「神崎さん、新しい薬はないですか?」 神崎さんとはもう親しい中だ。とはいっても仕事上の話だが。これだけ長期にわたって、モルモットをしてくれる人もいなかったので、神崎…

【365日】第六話

その日はコンビニのバイトの日だった。いつも一緒にシフトに入る節子という30代半ばの女性と一緒に仕事をしていた。その日はお客さんが少なく、隆志は節子と世間話をする時間があった。隆志が話すというよりは、節…

【365日 後編】第七話

NPO法人「飛龍会」。 かつて、大学病院に勤めるひとりの医者がいた。産婦人科に勤務していたが、どうしても叶えたい想いがあった。 それは、親と子の絆を繋ぎたい。 自分は、人の命を助けるために医者になった…

【365日 後編】第八話

そんな「飛龍会」も30周年を迎えたが、新聞の一面を飾ったのは、喜ばしき記事ではなく、幹部による脱税の記事だった。テレビに税務署の人間に立ち入り捜査をされる場面が映しだされた。 それを見ていたのが、「星…

【365日 後編】第九話

「お母さんってなに?」 隆志の担当だった山岡はその質問に戸惑った。 「なんて答えたらいいか難しいね。」 当時、幼稚園に通っていた隆志からの突然の質問に、山岡はなんて答えたらいいかわからなかった。でも、…

【365日 後編】第十話

話は現在に戻る。 「グッバイスメル」を飲んでいた隆志は、節子と人生初のデートをしていた。でも、隆志にとって、それはデートというよりは、時間つぶしであった。 365日働き詰めだった隆志にとって、この何も…