【一話完結】電子レンジ

何にでも厳しく、威厳のある父がいた。 家族は、その父の言うことに従い、反論することはなかった。反論できなかった。 そんな厳格な父がある買い物をしてきた。 それは「電子レンジ」だった。 母は、「あら?電…

【一話完結】笑う男

いつでも笑っている男がいた。 上司に怒られている時も、彼女にフラれた時も、いつも笑っていた。 まわりからは、「気持ち悪い」「なんだあいつ」と言われ、まともに話をしてもらえなかった。 それでもその男は笑…

【一話完結】雨男と晴れ女

この雨男は、どこへ行っても雨が降る。 友人と出かけるときも、いつも雨になってしまうため、とうとう誘われなくなったくらいだ。 いつものように出かけようとする。すると、急に雨が降ってきた。 まあいつものこ…

【一話完結】憧れ

男は、髪の毛がうっとおしくて仕方がなかった。 彼は、建築業をしており、いつも現場仕事だった。 なぜか、ひげは生えても気にならないのだが、髪の毛には異常に反応していた。 いつか、坊主にしてやる、と思って…

【一話完結】カツラ

妻と結婚して、はや十年。 お互い空気のような関係になっていた。 しかし、夫はこの十年間、ずっと黙っていたことがあった。 それは、『カツラ』。 もう話してもいいものだが、夫は言い出せずにいた。 それは、…

【ブリザード】第五話 エピローグ

太郎のいる地下シェルター内には、食料やその他生活に必要なものがある程度整っていた。地上のことはわからない。でも生きてくには十分な装備はあった。 ただ電気は有限である。太郎は復旧は見込めないなと思ってい…

【ブリザード】第四話

太郎は夢を見ていた。 山と山の間から、巨大な毛むくじゃらの怪物が姿を現し、口からあたり一面に向けて猛吹雪を発射している。真っ白な毛並みの怪物は、まん丸の目をして首を左右に振りながら、すべてを凍りつかせ…

【ブリザード】第三話

ここはある研究センター。研究センターといっても野球場が複数個入るような巨大な装置の置かれた最先端微粒子実験場である。 当時、微粒子と微粒子を衝突させることにより、新しい微粒子の発見が注目されていた。こ…

【ブリザード】第二話

太郎がA棟に向かうと、途中で坂田教授の助手の井上がまわりを気にしながら小走りに寄って来た。 「太郎くん、こっちこっち」 井上は太郎の袖をつまみ、引っ張りながら言った。太郎は困惑気味で「ど、どうしたんで…

【ブリザード】第一話

太郎はハローワークに来ていた。 求人検索マシンの前でいくつかの企業を見て、印刷する。5枚ほど印刷してから、相談窓口には行かず、そのまま帰宅する。 帰りの電車の中で、スマホのニュースを見ていると、ある記…